過去に日本撤退した海外証券会社の事情・理由まとめ

日本国内で公式に金融免許を取得し活動を行われているネット証券会社は数10社ほど存在しますが、こんなに少ない企業数の中でも合併や新たなサービスの開始、そして停止などとても頻繁に行われており、(投資家にとっての)金融サービス提供が不安定であることが伺われます。

これは、FX(外国為替証拠金取引)という金融市場の中でも最も流動性の高い商品を取り扱う企業達であることからの影響であるかもしれませんが、投資家の方々は常に彼らが変更する環境に慣れていかなければなりません。

しかし、これは海外においても同じです。

日本の投資家へ向けても金融活動を行われている海外のネット証券会社は、現在では20社ほど存在しますが、現在でも入れ替わりが激しく数年前のリストと現在では大きく異なっています。

また、世界的には数100社の証券会社が存在しますが、これらの証券会社も指定された市場へのサービス停止や倒産、そして合併など毎月のように話題になっています。

いくつかのネット証券会社の日本撤退の理由としては、各国の金融庁からの対応であったり、日本語サポートデスクの閉鎖であったりと様々ですが、実際のところの事情はどうなのでしょうか?

ここでは、過去に公式の各国金融ライセンスを保有し、日本人へ向けて活動を行われていたネット証券会社の中でも、すでに日本へ向けての(または完全に)サービスを停止してしまった会社を紹介します。

競争が激しい世界市場へ向けてFX取引サービスを提供している会社の中で、あなたにとっての優良企業を探すのは難しいことかもしれませんが、過去に撤退した会社を知ることで少しは将来の「良い選択」へつながるかもしれません。

※ここではどこの国の金融庁からもライセンスを取得せずに違法に活動を行われていた会社については記載しておりません。

ACFX(Atlas Capital FX)

まずは、最近話題になっていたあのACFX。

ACFXは、ヨーロッパ東の国のキプロスのCySECとイギリスのFCAにて金融免許を取得し、主にキプロスを拠点に活動を行われていたネット証券会社です。

ACFXは現在では、日本だけでなく全ての国においての金融活動を一時的に停止していますが、まだ公式には倒産や合併等の発表は行われていません。

ACFXが現在の活動停止まで至った経緯は以下の通りです。
  1. 中国の投資家グループが、ACFXの原油スワップポイントを利用した裁定取引を行う
  2. ACFXは会社の規約に記載してある通り、この投資家グループへの出金を一時的に遅延し、裁定取引を行われたと思われる投資家達への調査を開始
  3. しかし、この投資家グループはACFXが認可を受け活動を行われているCySECへ連絡
  4. 数週間後にはCySECからACFXへライセンス停止の連絡を受ける
  5. ACFXは金融活動を行うことができず、出金を行うことを義務づけられており、顧客の資金は全額返金(まだ未完了)
すでにACFXでは、彼らの顧客の資金を返金するための資金管理部門以外のスタッフは全員解雇、または自己退職されています。

もうすでにACFXは、復帰できる状態にはないとは考えられてはいますが、CySECからの公式発表ではライセンスは一時停止のままで、ACFXからは会社倒産や他の証券会社との合併等の話はまだ何もありません。

今回の裁定取引を行う中国人グループが目をつけたのも、ACFXが原油CFDのスワップ金利のプロモーションを始めてすぐであったため、もしかしたらあのプロモーションがなければ現在でも活動を行われていたかもしれませんね。

ACFXのバックグラウンドは、モンテネグロ最大の金融系複合企業であり、活動には安定性が期待されていましたが、政府機関の金融庁からのお達しであれば話は別です。

ちなみにACFXの顧客の取引口座は全てCySECのもとで管理されていたため、これらの顧客の資金の分別保管と最大2万ユーロのもしもの際の補償は常に完備されていました。そして今回のACFXの顧客への資金の返金は、このCySECの投資家補償機関であるICFの助けは必要なく、100%分別保管されていた銀行口座から全額返金が行われています。

ACFXは残念な結果とはなってしまいましたが、今回の出来事は金融庁登録の海外ネット証券会社を利用する大事さを学ぶいい機会になったかもしれません。

XTrade

XTradeは、あのポルトガルのサッカー選手クリスティーナ・ロナルドの公式スポンサーになった世界最大のCFDブローカー(証券会社)の1つです。

あのロナルド選手からは、「何においてもベストを選ぶのが大切だ。だから私はXTradeを選んだ。」とコメントされていますが、正直なところなぜあえてXTradeを選んだのか疑問に思われている方は多いようです。。。(結局はスポンサーからの支払いによるのだと思われますが)

XTradeは、キプロス、オーストラリア、イギリスなどの世界でもとてもメジャーな金融庁にて免許を取得し現在も活動を行われているネット証券会社です。

XTradeのメインビジネスはCFD。なんと700種類以上のCFD商品(株・指数・債権・商品先物・貴金属)を1つの取引口座を通して提供している世界でも商品数ではトップクラスの会社です。

ただXTradeの取引環境は、日本の大手と同じように完全なOTC(店頭取引)であり取引手法の制限が多いことと、かつFX通貨ペアにおいては、スプレッド(取引手数料)が4ピップ以上ととても広いことはデメリットでもあります。

そんなXTradeですが、日本語サイトは現在でも保有されていますが、そのウェブサイトを翻訳した日本人スタッフの方はすでに解雇されています。また、数ヵ月後には日本のIPアドレスからの彼らのオンライン取引プラットフォームへのログインを全てブロックすることとなりました。

これで事実上の日本市場からの撤退となったわけなのですが、もし海外に居住されている日本人の方であれば、今後もXTradeを利用することは可能です。

XTradeの日本撤退の理由は、彼らが金融免許を保有しているオーストラリアのASICとイギリスのFCAが日本人顧客の受け入れを許可しないことと、実際の日本人顧客数の減少にあります。

ThinkForex

ThinkForexはもともとニュージーランド、そしてその後オーストラリアへ拠点を移し、日本へのサービスを開始した証券会社の1つです。

ThinkForexは、狭いスプレッドとcTraderにより日本の投資家からも大きな人気を集めていた会社でもあります。

1年ほど前に、オーストラリアの金融庁ASICからの日本へのサービスを完全に停止するように規制が入り、ThinkForexを含めた多くのオーストラリア拠点のネット証券会社が続々と日本から撤退し始めました。

これらのオーストラリアの証券会社が日本市場から撤退したのは、実は日本の金融庁JFSAではなくオーストラリアのASICからのお達しによるものです。ASICが規制するのは日本へ向けてだけでなく、ほぼ全ての他国の投資家へのサービスです。

日本は金融鎖国を行われているようなイメージはありますが、実はオーストラリアやイギリスといって先進国の金融庁は、さらに厳しいルールにて各国の金融業を管理しています。

現在でもオーストラリア国内の全てのネット証券会社は、オーストラリア国内の顧客と海外の顧客で資金管理や補償を完全に異なるものとしており、将来的にはアメリカの完全な「他国の証券会社排除」のような環境になりうると考えられています。

ThinkForex撤退の際には、顧客へは約1か月ほどの猶予が与えられ、資金は全額返金が行われました。

現在では、ThinkForexはオーストラリアから移動しイギリスのFCA免許の下で主に活動を行われていますが、このFCAも日本へのサービスは認めていませんので、ThinkForexが今後日本へのサービスを開始する目処は今のところはなさそうです。

PepperStone

PepperStoneは、実は海外ネット証券会社の中では、日本市場のシェア率が最も大きかった会社の1つです。

PepperStoneの拠点もオーストラリア、そして現在でも主にASICからの規制・認可のもと金融サービスを提供しています。

PepperStoneは、実はオーストラリア国内で日本市場から撤退した1番最初の証券会社です。日本人顧客の数が圧倒的に多かったことからも、ASICからの連絡は最も先に届いたのかもしれません。PerpperStoneの日本撤退は、1年ほどから事前に噂が立ってはいました。

このPepperStoneにおいても日本市場撤退の理由はThinkForexと同じものですが、さすがに日本市場で大きな稼ぎを得ていたビジネスを簡単に手放すつもりはなかったようで、現在では彼らの別会社がほぼ同じような取引環境にてサービスを提供しています。

このように別会社を他国に設立して、各国へ営業を続ける証券会社も多いため、もしあなたのお気に入りの海外ネット証券会社が日本市場を撤退しているということがあれば、彼らの子会社等を探してみるのもいいかもしれませんよ。


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